「話が分かりにくい」と言われないために必要なスキル

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「分かりにくい話」の共通点

話しているうちに、別の話が派生して目指していた着地点とは違う方向に行ってしまったり、詳細を詰め込みすぎてメインポイントが分からなくなってしまったりして、全体としてごちゃごちゃした印象になってしまう、ということがありませんか?

相手に伝わらない、分かりにくい話には共通点があります。それは、ロジカル思考に基づいた情報処理能力が抜け落ちてしまっている、ということです。

戦略コンサルタントである筆者から見ると、優れたスピーチに必要なスキルは、「話し方」ではなく、「情報処理能力」です。

言いたいことや、それにまつわる関連情報がたくさんある中で、聞き手にとって価値がある情報のみをピックアップし、情報のレベル感や種類によって仕分け整理し、体系的に並べ、アウトプットしていく。このような、ロジカルな情報処理能力が、優れたスピーチを作るうえで最も重要なことです。この部分が、スピーチ作りの8割を占めるといっても過言ではないと思います。

だからこそ、ブレイクスルー・スピーキングでは、戦略コンサルタントならではのロジカル思考の手法をふんだんに取り入れたブレイクスルー・メソッドで、言葉や文化の壁を越えて伝わるスピーチ術を教えています。

もちろん、ロジカル思考は一晩で身につくものではありません。しかし一つだけ、ロジカルな情報処理を行うためのコツをお話しするとするならば、それは、「情報を仕分けする」ということです。

例えば仮に、「旅行業界の中堅企業A社の次期トップが、経営戦略方針を提案する」と想定し、次の情報をスピーチに盛り込みたいとしましょう。

(1)現在、地域・国ごとに、異なるデータベースのシステムを使っている。
(2)法人事業では事業ラインがいくつかあり、それぞれ別々のシステムに
なっている。
(3)均一なサービスをグローバル展開できていないのがわが社の弱み。
(4)データベースをグローバルレベルで一元化する必要がある。
(5)投資するのは、一元化したデータベース制作、そして出来上がったデータ
ベースにAIやVoice Recognitionなどの最新技術を付加していくこと。
(6)グローバルレベルでの統一と同時に、ローカルレベルでの裁量も必要。
(7)個人顧客事業では、地域ごとにニーズが異なる。
(8)ニーズが異なる部分ではカスタマイズが必要。
(9)現地採用も積極的に行わないと営業力が高まらない。
(10)わが社のビジョンは、ローカル旅行代理店から、
グローバル・トラベル・ソリューション・カンパニーへと
戦略的成長を遂げることである。

さて、これらの情報を読み比べると、情報のレベル感や種類がそれぞれ異なるのがお分かりになるでしょうか。

情報には、異なるレベル感があります。「情報のピラミッド」ともいえるのですが、大きく分けると、「ビジョンや戦略などを示すハイレベルな情報ピラミッドの頂点」、そしてそのハイレベルな情報と、具体的アクションのような詳細情報をつなぐのが、「根拠や理由、事実などのミッドレベル情報」、そして、「アクションプランなどの詳細や状況・事実説明を含むジェネラルレベル情報」の3層に分けられます。

例えば上記の例では、(10)はビジョンといった、ハイレベルな情報ですが、(1)は現状把握のためのジェネラル情報です。

また、ミッドレベルやジェネラルレベルの情報は、さらに異なる種類にも仕分けられます。上記の例では、状況に関する情報、分析に関する情報、戦略に関する情報、ビジョンに関する情報、さらにテクノロジー関連情報と人事関連情報、などに仕分けることができます。

こうして考えると、ほとんどがデータベースなどテクノロジー関連の情報ですが、(9)だけは、人事関連情報であることが見えてきます。しかし、(4)で提案されているのは、テクノロジーに関わることですので、ここに人事関連情報をひとつだけ加えると、思いつきで情報を押し込んだように聞こえ、バランスも悪く、全体がぼやけてしまいます。

レベル感や種類の異なる情報をすべて並列で扱ってしまうと、ポイントがぼやけてしまい、「話がよく分からない」と言われてしまうのです。

したがって、不必要な情報は抜き、レベル感を合わせ、種類ごとに仕分けて情報を並べてあげるだけで、非常にすっきりした、分かりやすい内容になります。その例が下記です:

 わが社は、ローカル旅行代理店から、グローバル・トラベル・ソリューション・カンパニーへと戦略的成長を遂げなければなりません。

しかしそこにたどり着くためには障害があります。現在、地域・国ごとに、異なるデータベースのシステムを使っているため、均一なサービスをグローバル展開できていません。我々がグローバル・トラベル・ソリューション・カンパニーになるためには、この障害を取り除くべく、データベースを一元化する必要があります。

そのためには、3つのステップを踏みます。

まず始めに、一元化したデータベース制作に投資し、世界共通のOne Platformを構築します。

次に、AIやVoice Recognitionなどの最新技術にも投資し、出来上がったプラットフォームのユーザビリティーを高めていきます。

最後に、カスタマイズです。これは個人顧客向けと法人顧客向けでは少々手法が異なります。個人顧客向けには、世界中で統一したユーザーインターフェースの下、地域ごとに、現地の人々のニーズに合わせたカスタマイズする手法。法人顧客向けには、事業ラインごとにカスタマイズする手法をとります。

こうしてグローバルでの一元化、かつローカライズもされたシステム、One Platformにより、我々はグローバル・トラベル・ソリューション・カンパニーとして生まれ変わります。

ロジカル思考に基づいた情報整理能力を高めていけば、皆さんのスピーチも、そぎ落とされて明解なメッセージが出せるようになります。

投稿者プロフィール

リップシャッツ 信元 夏代
リップシャッツ 信元 夏代(りっぷしゃっつ・のぶもと・なつよ)
早稲田大学商学部卒。ゼミ専攻は「異文化コミュニケーションとビジネス」。NYUにてMBA取得。1995年に渡米後、伊藤忠インターナショナルにて鉄鋼、紙パルプ業界の営業・事業開発に携わる。その後マッキンゼーにて消費財マーケティング・事業プロセス改革などの業務に携わった後、2004年に、事業戦略コンサルティング会社のアスパイア・インテリジェンス社を設立。
 2013年、2014年春季トーストマスターズインターナショナルの国際スピーチコンテストでは、日本人初の地区大会優勝2連覇を果たしている。この経験を受け、2014年9月にブレイクスルー・スピーキングを設立。グローバルに活躍したい日本人のためのグローバルパブリックスピーキングのE-learningプログラムを中心に、個人コーチングセッション、企業内研修なども行う。TEDxTalkスピーカー。