コンサルタントの武器「フレームワーク」<その2>

ビジネスは、毎日が問題解決の連続です。大なり小なり、ありとあらゆる所から降りかかってくる問題に対し、ビジネスパーソンは瞬時に判断を下し、前進していかなければなりません。しかし、経営について勉強したり、業務経験を積んだだけでは、「知識」や「勘」は身についても、「真の思考力」はなかなか身につかないものです。「真の思考力」とは「知識」や「勘」を上手に活用しながら、本質的な問題を探り当て、それを解決していくための「スキル」であるからです。

本コラムでは、戦略コンサルタントが日々活用しているロジカル・シンキング手法を基礎から紹介します。ロジカル・シンキング力を鍛えるための頭の体操や、アメリカを中心に起こっている出来事をケースとして取り上げながら、読者のロジカル・シンキング力を刺激していきます。

今回も前回に引き続き、ロジカルに仮説検証、分析などを行い、解決策立案につなげるために役立つフレームワークをご紹介します。

SWOT分析

SWOT分析はご存知の方も多いと思います。これは事業戦略立案のためのフレームワークで、環境分析のスタートとなる分析ツールとしてよく使われます。組織の特徴や環境などを洗い出し、重要課題を特定化したり、戦略を立案したりすることが狙いです。自社の強み(Strength)、弱み(Weakness)、市場や顧客獲得の機会(Opportunity)、脅威(Threat)といった外部要因をマトリクスにして客観的に分析することができます。その結果、外部環境と内部環境の現状を抽出した上で、強みを機会に生かす、弱みと脅威の鉢合わせを回避する、強みを強化する、弱みを強みに変える、といったことを考えやすくします。

  1. まず分析の対象とうなる組織を特定し(企業、部門、など)
  2. その組織の現在の強みと弱みを挙げます(=内部要因の現状分析)
  3. 次に組織を取り巻く環境で好機となるものや行為となるものを挙げます(=外部要因の将来展望)
  4. 縦(強みと好機、弱みと脅威)を見て、関連する項目を探り、戦略を立案します
  5. 斜め(強みと脅威、弱みと好機)を見て、関連する項目を探り、戦略を立案します

プロセス・マッピング

業務プロセスの向上のためのフレームワークで、現状のプロセスの全体像を関係者で共有し、オペレーション上のプロセスのボトルネックを見つけ、改善点を探ることが狙いです。ありのままのプロセス全体を「見える化」することで、業務上どこに強みと弱みがあるかが浮き上がってきます。

  1. 分析すべきプロセスを選んだら、始点と終点を決めます
  2. まず大まかな流れを抑えます
  3. 細かい作業のステップをプロセス担当者から引き出し、アイコンを活用し、プロセスマップに加えていきます
  4. マップが完成したら、改善しうる点をブレーンストーミングします

ペイオフ・マトリックス

ペイオフマトリックスは、新たな打ち手を策定する際、ブレーンストーミングなどで出されたたくさんの選択肢から有力な選択肢へと絞り込む手法で、アイデアの優先順位を短時間でつけることが狙いです。マトリックスの尺度に応じ、実行すべきタスクの優先順位を決定していく際に有効で、次のように進めます。

  1. まず複数の解決策やアイデアをブレーンストーミング法などで挙げます
  2. 次に、「効果」と「費用」、「市場性」と「投資額」など、アイデアを評価するための尺度を決めます
  3. 討議しながら、マトリックス内に、1.で出されたアイデアを振り分けていきます

ポーターの事業戦略類型

事業戦略構築の上でどのように競争優位性を図っていくか、について、競争優位性を築く手段として「コスト」と「差別化」、対象となるターゲットを「広い」と「狭い」に分けたマトリックスで検討し、適切な競争戦略を探していくためのツールです。基本となる戦略を、「コストリーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」という3つの種類に分けて検討します。

<コストリーダーシップ戦略>
コストリーダーシップ戦略とは、業界の最低コストを実現し、競合と価格競争をしても黒字経営を維持しながら勝ち抜いていく戦略です。ただ単にコスト削減を目指すのではなく、最低コストの実現により、市場最低価格を設定することのできるリーダーとなるために経営資源を費やします。

<差別化戦略>
差別化戦略とは、ほかに類を見ないユニークな特性や競合他社よりも高い付加価値を提供することで自社商品の差別化をし、より高いポジショニングを実現する戦略です。高付加価値を与えることで、高価格を正当化し、高いマージンを獲得します。ブランディングやマーケティング戦略策定の際に使用されることが多く見られます。

<集中戦略>
集中戦略とは、特定の顧客層や商品ライン、地域など、特徴に応じて限定的にセグメンテーションされたニッチ箇所に経営資源を集中し、攻めていく戦略です。例えば、中小企業が大手企業に対抗する際などによく採用される戦略です。

次回のコラムでは、イッシュ-アナリシスについてお話します。

投稿者プロフィール

リップシャッツ 信元 夏代
リップシャッツ 信元 夏代(りっぷしゃっつ・のぶもと・なつよ)
早稲田大学商学部卒。ゼミ専攻は「異文化コミュニケーションとビジネス」。NYUにてMBA取得。1995年に渡米後、伊藤忠インターナショナルにて鉄鋼、紙パルプ業界の営業・事業開発に携わる。その後マッキンゼーにて消費財マーケティング・事業プロセス改革などの業務に携わった後、2004年に、事業戦略コンサルティング会社のアスパイア・インテリジェンス社を設立。
 2013年、2014年春季トーストマスターズインターナショナルの国際スピーチコンテストでは、日本人初の地区大会優勝2連覇を果たしている。この経験を受け、2014年9月にブレイクスルー・スピーキングを設立。グローバルに活躍したい日本人のためのグローバルパブリックスピーキングのE-learningプログラムを中心に、個人コーチングセッション、企業内研修なども行う。TEDxTalkスピーカー。