スピーチ上手になるための「覚悟」とマインドフルネス

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皆さんの今年の抱負は何ですか?筆者は、毎年「WILL DO LIST」というものを作っています。今年達成したい目標を並べ挙げ、優先順位をつけていきます。その内容は、達成しやすい身近なものながら継続がものを言う、という内容のものが多いです。例えば、「毎日最低15分ヨガをやる」などです。

筆者は実は、競技ラテンダンスのアマチュア選手でもあるのですが、ダンスの練習はもちろんのこと、継続的な基礎体力づくりが重要であるにもかかわらず、3歳児と仕事を抱えての毎日の中、体づくりの時間をおざなりにしてしまいがちになっていました。そこで、今年の「WILL DO LIST」の第一番目には、「毎日最低15分ヨガをやる」を挙げてみました。「毎日やる」というのはなかなか大変なものですが、15分ならなんとか覚悟さえできていれば達成可能なはず、と考えたわけです。

友人には、「Wish List」や「To Do List」を作成する人もいます。しかし筆者の場合は、あえて「WILL DO LIST」と呼んでいます。それは、「できたらいいな」や「やるべき」というスタンスではなく、「必ずこれをやります」、「今年の終わりにはこれが出来ています」という覚悟表明という意図があるからです。

つまり、「WILL DO LIST」は、ついネガティブになりがちな思考や、自分自身への言い訳、中途半端な思考を書き換え、ポジティブな思考のためのスペースを頭の中に作る手段なのです。「WILL DO LIST」では、主語+現在形の動詞の形で、ありたい自分について断言してしまいます。

例えば、筆者の「WILL DO LIST」の一番目は、上述の通り「毎日最低15分ヨガをやる」です。「毎日最低15分ヨガをやりたい」ではありません。二番目は「子供に毎日2冊の本を読む」です。「子供に毎日2冊の本を読むように努力したい」ではありません。

そして覚悟表明であるこの「WILL DO LIST」は、デスクの目の前に貼っておき、いつでも視野に入るようにしています。

皆さんも「WILL DO LIST」を作ってみませんか?そしてそのリストの中、是非とも、「グローバルに通用するスピーチをマスターする」が入っていることを願っています!

「覚悟」とマインドフルネスとスピーチ力の関係

さて、スピーチ原稿を考える際にも言える事なのですが、伝えたいことは通常、ぼんやりとでも沢山あるものです。しかしその中で、最も伝えたい、たったひとつのTHE MESSAGEは何なのか?を自分自身に問いかけ、いわば内省にも近いプロセスを踏むことが大切なのです。たったひとつのTHE MESSAGEに絞り込むことで、スピーチは格段にクリアになります。

年明け最初の本コラムで筆者が伝えたいTHE MESSAGEは何だろうか。そう考えていると、それは「覚悟」だ、と浮かんできました。

年が明け、今年の抱負、New Year’s Resolutionを立てた方も多いかもしれません。しかし、3日坊主まで飽きやすくはないにしても、年初に心に誓った抱負や目標を、気づかないうちに実行しなくなってしまっていた…ということは良くあることです。それは、100%の覚悟ができなかったり、不安やいい訳が邪魔したりするからでは…と思い、とある方に、どうやったら「覚悟」を100%にできるのでしょう、と尋ねてみました。するとこんな返答が返ってきました。

最高の場合と、2番目の場合、3番目の場合、最悪の場合など色々な場合を想定すると覚悟も決まりやすくなるかと思います。

色々なパターンを想定することができたらそれ以上のことは起きないのですから、以後は悩まないことです。悩みが出てきても「考えても仕方ない、以上!」で切り上げるように心がけてみてはどうでしょうか。

不安が出てくるのは仕方がないことです。でもそこを認めつつ、気持ちを切り替えて先に進むしかないと思います。また、瞑想や内省などのマインドフルな日々の習慣も大いに助けになってくれると思いますよ。

約1年前の2014年2月、タイム誌の表紙に「マインドフル革命(The Mindful Revolution)」の文字が躍ったのをご存知な方もいらっしゃるでしょう。ビジネス界での最新の流行を誇大に伝えているようにも見えますが、実際に、瞑想や内省、日誌の執筆といったマインドフルネスの取り組みは、グーグル、ゼネラル・ミルズ、ゴールドマン・サックス、アップル、その他多くのグローバル企業で実践され、組織の成功に寄与している、といわれています。

アップル創設者の故スティーブ・ジョブズも、瞑想の実践者だったそうです。彼は負のエネルギーを抑制するため、更に画期的な製品を生み出すことに集中するため、そして卓越性の実現をチームに要求する際に、マインドフルネスを利用していたそうです。

マインドフルネスとは、単純に言えば、その一瞬に全力を傾けること、と考えることができます。MITマインドフルネスセンター所長を務めるジョン・カバットジン博士は、マインドフルネスについて「今という瞬間に、余計な判断を加えず、自分の人生がかかっているかのように真剣に、意識して注意を向けること」と定義しています。つまり、「覚悟」ということなのではないでしょうか。

日々の小さな「マインドフルネス」の積み重ねが、100%の「覚悟」に繋がるのかもしれません。そしてそれは、内省を習慣的に行うことでもあり、毎日の決まった流れから自分を引き離して、仕事と人生についてじっくり考え、自分にとって本当に大事なことを見極める、そんな機会を頻繁に持つことなのだと考えています。

実はスピーチの準備のプロセスは、「内省」なのです。それは、自分自身にしか語れないストーリーを語ってこそ、印象に強く残る、無二のスピーチに仕上がるからです。

自分だけのストーリーを語るには、「内省」のプロセスが欠かせません。ですから、スピーチの習得を積み重ねることは、すなわち「マインドフルネス」の積み重ねであり、「これをかならず実現するのだ!」という100%の「覚悟」に繋がる力となるのではないでしょうか。

「今年はスピーチ上手になる!」というみなさんの「覚悟」はいかほどですか…?!

投稿者プロフィール

リップシャッツ 信元 夏代
リップシャッツ 信元 夏代(りっぷしゃっつ・のぶもと・なつよ)
早稲田大学商学部卒。ゼミ専攻は「異文化コミュニケーションとビジネス」。NYUにてMBA取得。1995年に渡米後、伊藤忠インターナショナルにて鉄鋼、紙パルプ業界の営業・事業開発に携わる。その後マッキンゼーにて消費財マーケティング・事業プロセス改革などの業務に携わった後、2004年に、事業戦略コンサルティング会社のアスパイア・インテリジェンス社を設立。
 2013年、2014年春季トーストマスターズインターナショナルの国際スピーチコンテストでは、日本人初の地区大会優勝2連覇を果たしている。この経験を受け、2014年9月にブレイクスルー・スピーキングを設立。グローバルに活躍したい日本人のためのグローバルパブリックスピーキングのE-learningプログラムを中心に、個人コーチングセッション、企業内研修なども行う。TEDxTalkスピーカー。