ストーリー構築の9つのCを実際のスピーチから探してみよう:クライマックス編

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前回は筆者が今年の6月に登壇した、TEDxWasedaUのスピーチ、“Living in the YES”を取り上げ、五感に響くストーリーを構築するための「9つのC」が実際にスピーチの中にどのように組み込まれているか、解説しました。前回、一つ目のストーリーを解説しましたので、今回はクライマックスを迎える二つ目のストーリーの解説です。

一つ目のストーリーは、留学時の苦労話を挙げ、自分自身に「So What?(だから何なんだ?!)」と問いかけながらネガティブ思考をポジティブ思考に変えることで、能力向上に繋がったという話でした。そして二つ目の大きなストーリーへの移行として、「しかしこの時点では、思考の転換が、ミラクルをも実現させるパワーがあるということにはまだ気付いていなかった」と語り、クライマックスを迎える二つ目のストーリーに入っていきます。

第一幕:ドラマのSet-upをする

  1. ①Curiosity(好奇心):それまで子供を欲しいとは特に思わなかったが38歳のときに、後悔しないよう…と決意したが、すでに道は厳しかった、と語り、どんな苦悩が待ち受けているのか、興味を掻き立てています。
  2. ②Circumstance(状況):お腹に注射針を指している強烈な画像とともに、これを毎日14日間続け、その間毎日、嫌だ、嫌だ、なぜ私が?嫌だ…といい続けていた状況を痛々しく表現。
  3. ③Characters(キャラクター):穏やかな担当医が登場します。

第二幕:葛藤と変化のクライマックス

  1. ④Conflict(葛藤や障害):担当医から、1回目の人工授精の検査結果が、99%異常、というあり得ないほどネガティブな結果だったことを告げられ、絶望のどん底に落とされます。
  2. ⑤Cure(救世主):そこで一つ目のストーリーに出てきたNateの言葉、「So What」を思い出します。99%異常を99%正常に変えるには、思考をポジティブ転換することだけが自分自身にできる唯一のことだ、と気づきます。
  3. ⑥Change(変化):そこから毎日、ポジティブ思考で自分の内面に語りかけます。
  4. ⑦Conversations in Dialogue(会話調の対話):どのように内面に語りかけていたのか、目をつぶり、独白をセリフとして語り、最後には涙で声が詰まります。

第三幕:学びと気付き

  1. ⑧Carryout(実行、実現、学び):その結果、二回目は見事99%正常となり、担当医から、「これはミラクルだ」といわれ、思考転換はミラクルをも実現するのだ、ということを悟り、信じます。NoではなくYesを生きる、ということ。
  2. ⑨Callbacks (振り返り):スピーチの冒頭で登場した扉がまた出てきます。So Whatの問いかけ、Yesを言うだけでなくYesを生きるということ。学んだことを振り返り、無限の可能性があの扉の向こうに待っていることを力強く語ります。扉が徐々に開いていき、全開になって無限の空に向かっていきます。

いかがでしたか?ドラマをこのように分解して見てみると、実は緻密に構成されていることが分かるかと思います。皆さんのお好きな映画やスピーチも、このような角度から見て分析してみてください。なぜその映画やスピーチに感動を覚えたのか、きっと謎解きが出来ることでしょう!

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投稿者プロフィール

リップシャッツ 信元 夏代
リップシャッツ 信元 夏代(りっぷしゃっつ・のぶもと・なつよ)
早稲田大学商学部卒。ゼミ専攻は「異文化コミュニケーションとビジネス」。NYUにてMBA取得。1995年に渡米後、伊藤忠インターナショナルにて鉄鋼、紙パルプ業界の営業・事業開発に携わる。その後マッキンゼーにて消費財マーケティング・事業プロセス改革などの業務に携わった後、2004年に、事業戦略コンサルティング会社のアスパイア・インテリジェンス社を設立。
 2013年、2014年春季トーストマスターズインターナショナルの国際スピーチコンテストでは、日本人初の地区大会優勝2連覇を果たしている。この経験を受け、2014年9月にブレイクスルー・スピーキングを設立。グローバルに活躍したい日本人のためのグローバルパブリックスピーキングのE-learningプログラムを中心に、個人コーチングセッション、企業内研修なども行う。TEDxTalkスピーカー。