今月も、先月に引き続き、プロフェッショナルスピーカー向けの集中ブートキャンプに参加してきました。
全4日間×4カ月のうち、半分が終了。より深い学びや新たな学びがあり、前回にも増して充実した4日間となりました。今回は、この新たな学びの中から、たった5分でストーリーの骨子を構築できる、スピード・ストーリー構築手法をご紹介します。ほとんどのプロスピーカーもなかなか知りえないこの手法を、皆さんに日本中の誰よりも早くご紹介します!
日常の出来事は何でもストーリーになる
ストーリーを語れと言われても、自分の毎日は平凡な毎日だしドラマチックなストーリーなんてないから……こういう声を頻繁に聞きます。 でもそうでしょうか?
・初めての場所に旅行した時のこと。
・いつも通勤時にすれ違う人の髪型がちょっと変わっていた時。
・先週、急に上司のピンチヒッターで営業に行かなければならなかった時。
・昨日夫婦喧嘩をした時、もっとこういう言い方をしていれば……。
・ある人が自分にかけてくれたひと言で、やる気が出た時。
毎日、些細だけれどもいろんなことが起こります。いつもと違ったこと、初めて何かを経験したこと、不安になったりイライラしたりしたこと、うれしかったこと、驚いたこと……そんな普通の日常だからこそ、そこに「意味」を与えれば、人が共感し、かつ、学びがあるストーリーになるのです。そうです、ストーリーを語る極意は、何の変哲もないと思える日常から、「どういう意味合いを引き出すか」、にあるのです。
例えば、初めて旅行した石垣島で出会った素朴な人たちを見て、「朝に見た道端の花がとてもきれいに咲いていた」など、毎日一つの小さな喜びを見つけることが、自分の人生を豊かにするのだと気づいた。
例えば、いつも通勤時にすれ違うあのサラリーマン風の男性が、髪の毛の分け目が逆になっていた! 変化のない日々が続くと、どんな小さな変化でも新鮮に感じるので、小さなことでもよいから毎日何か違うことをしてみよう!と感じた。
例えば、急に上司のピンチヒッターで営業に駆り出され、全く準備ができておらずどうしようもないプレゼンだった。人任せにせず、常に1分で商品を語れる練習をしておくことが、多くの場面で役立ち、自信にもつながる!と奮起した。
などがあげられるでしょう。
ストーリーの内容は、素晴らしくドラマチックである必要はありません。むしろ、ドラマチックで特別なストーリーであればあるほど、聞き手は他人事として聞いてしまう可能性が高くなります。平凡でよくある毎日の中に、意味合いを見出すからこそ、聞き手は「自分事」として聞いてくれ、「あるある!」という共感が得られるのです。
スピード・ストーリー構築手法
とはいえ、日常の出来事をそのままだらだらと話すのでは、共感を呼ぶ「ストーリー」には仕上がりません。
通常ストーリー作りは、フセンなどを使いながらしっかりとブレインストーミングを行い、情報を整理しながら時間をかけて組み立てていくものですが、今回のブートキャンプで、2~3分の短いストーリーの大体の骨子を5分で作ってしまう、スピード・ストーリー構築手法を新たに学びました。
ステップはたったの4つです。
(ステップ1)
まずストーリーのトピックを選びます。「先日急なピンチヒッターで営業に行った時」、などです。
(ステップ2)
メインポイントを考えます。選んだトピックについてストーリーを語るにあたり、聞き手に受け取ってほしいストーリーのメインポイントは何なのか。スピーチの中でストーリーを語る際、最も大切なのがここです。ポイントのないストーリーは逆効果です。
(ステップ3)
エンディングを考える。 そのストーリーはどのように終結するのか。終点をしっかりと定めましょう。
(ステップ4)
ストーリーを三幕構成で組み立てます。その際、次のようなキーワードを使いながら簡単にメモしていきましょう。細かく綿密に組み立てる必要はありません。あくまで、喫茶店で友人とコーヒーを飲んでいる時にふと思いついてこの話を始めた、そんなイメージでよいのです。
(第一幕)ストーリーの状況設定をします。「いつのこと……」「私は……」「こんな状況で……」「こんな人たちが登場して……」
(第二幕)何らかの変化やコンフリクトが起こります。「ところがある日……」「こんなことがあり……」「さらにこんなことがあり……」「あるきっかけが……」「その結果……」
(第三幕)ストーリーが収束し、学び(=メインポイント)が明らかにされます。「それからというもの……」「だから、つまり……」
ここまで、5分ほどでできるはずです。そうしたら、2~3分でこのストーリーを語ってみましょう。この時、録音をしながら語ってみてください。
コンピューターに向かって原稿を書き始めるよりもはるかに自分らしい自然な話し言葉で話している自分に気づくことでしょう。その口調こそが、スピーチの中でも取り入れたい、聞き手の共感を呼ぶ会話調の口調なのです。
この録音を聞きながら、ちょっと説明が回りくどい、詳細が多すぎる、あるいは情報が足りていなくて状況が理解できない、結論にたどり着くのが早すぎた、もしくは遅すぎた、など、いろいろな気づきが得られるはずです。そうしたら次のステップとしてストーリーを洗練させていく作業が必要になってきますが、まずは「メッセージのあるストーリー」を手早く、たくさん生み出していく手法として、このスピード・ストーリー構築法はとても実践的な手法です。
ぜひ皆さんも試してみてください。